残酷なこの世界は私に愛を教えた
パズル
◇◇◇
「じゃあ、元気でね。たまには遊びに来てちょうだいね?」
「はい。ありがとうございます」
壮ちゃんの家の玄関で、隼人が壮ちゃんのお母さんに深々と頭を下げる。
「じゃあな。すまないが、智久のこともよろしく頼むな」
「はい」
壮ちゃんのお父さんに肩を叩かれ、もう一度頭を下げた後、隼人がこちらに走ってくる。
「ごめん。じゃ、帰ろうか」
「うん」
私たちは、並んで歩き出した。
帰りの新幹線では、壮ちゃんの話題で持ち切りだった。
私が壮ちゃんと病院で出会っていたこと、壮ちゃんの病気がとても重いものだったこと、いつも隼人のことを話していたことを話した。
「初めて入院した時にね、壮ちゃんに会ったの。同じ階で、年の近い子があんまり居なかったからすぐに仲良くなって」
「入院? 愛珠、どこか悪いのか?」
心配に顔を歪めて私を見つめる隼人。
「ううん。喘息だったんだけど、今はもう治ったよ」
「そっか。良かった」
壮ちゃんと重ねてしまったのだろうか、私がそう言うと隼人は少しホッとしたようだった。