残酷なこの世界は私に愛を教えた
……ええっ!!
ちょ、ちょ、これは膝枕では?
いきなりこれはハードルが高すぎる……。
「あの……」
言いかけて、あまりにも気持ち良さそうに眠っている隼人の顔を見ると何も言えなくなる。
うう、このままにしておくしかないか……。
二時間後。
こっちが心配になるくらい全く動かず死んだように眠っていた隼人がふと目を開けた。
「あ、起きた? おはよう隼人」
「んー……? あれ、俺なんでここに……?」
まだ完全に起きてないのか、ふにゃふにゃと喋る。
「自分で来たでしょ、覚えてないの?」
「んー……」
っておい! また寝るんかい!
もー……ほんとに……。
「ほーら、起きて。もう6時だよー」
「んー、って、えっ!? 6時!?」
隼人がガバッと起き上がる。
「寝過ごした……何で起こしてくんねーの?」
「えっ、だって起こしてって言われてないし……」
「嘘、嘘。いやー、にしてもやらかしたなー。……帰るか」
「うん」
お店を出ようとすると、カウンターで眠っているお姉さんの姿が目に入った。
……いや、酔いつぶれている……?
いつもならまだお客さんが居るはずのこの時間に、お店は静けさを奏でていた。