残酷なこの世界は私に愛を教えた

デート




◇◇◇



隼人と出掛ける日の朝。


三食分の食事を用意し、「今日は遅くなるのでこれを食べて下さい」と置き手紙を書く。



そして、隼人の隣を歩くのに相応しい格好になるように服を選ぶけど……全然分からないっ!


あんなイケメンの隣歩くとか、想像するだけで緊張して死にそう……。



ていうかこれってデートみたいじゃない?

うわ、そう考えるともっと緊張して来た……!
考えるのやめよ。



そんなことを考えて居るうちに家を出る時間が近づく。







「あ、ごめん! 遅れた!?」



待ち合わせ場所には隼人の方が先に着いていた。

その場の人達の視線を独り占めしている。



「いや、まだ時間より早いよ」



ほ~相変わらず格好いい~。

って、見とれてんじゃないよ、私!



「行こ!」



「おう」







「ひ、人多い……」



テーマパークに着き、人混みを眺めてぞっとした声を出す隼人。



「だねー、混んでるなあ。流石夏休み。……あれ、人混み結構苦手?」



そりゃ私だって好きじゃないけど、彼の嫌がり方が少し気になった。



「人酔いする……」



「あー分かるよ、人の居ない所とかあるのかな?」



「いや、最初くらい何か乗ろーぜ。せっかく来たんだから」



「んー、じゃあ、おすすめは?」



「愛珠が好きなの乗りなよ」



「でも私初めて来たし全然分からない……」



「えっ? 初めて?」



家族や友達と何度も来る人が多いので、確かにこの年で来たことが無いのは珍しいのだろう。



「うん。だから、隼人に着いていきます……」



「分かった、じゃあ定番のから乗ろうか」



そう言って、隼人は人混みの中を私の手を引いて歩き出した。



< 73 / 197 >

この作品をシェア

pagetop