残酷なこの世界は私に愛を教えた
デート
◇◇◇
隼人と出掛ける日の朝。
三食分の食事を用意し、「今日は遅くなるのでこれを食べて下さい」と置き手紙を書く。
そして、隼人の隣を歩くのに相応しい格好になるように服を選ぶけど……全然分からないっ!
あんなイケメンの隣歩くとか、想像するだけで緊張して死にそう……。
ていうかこれってデートみたいじゃない?
うわ、そう考えるともっと緊張して来た……!
考えるのやめよ。
そんなことを考えて居るうちに家を出る時間が近づく。
「あ、ごめん! 遅れた!?」
待ち合わせ場所には隼人の方が先に着いていた。
その場の人達の視線を独り占めしている。
「いや、まだ時間より早いよ」
ほ~相変わらず格好いい~。
って、見とれてんじゃないよ、私!
「行こ!」
「おう」
「ひ、人多い……」
テーマパークに着き、人混みを眺めてぞっとした声を出す隼人。
「だねー、混んでるなあ。流石夏休み。……あれ、人混み結構苦手?」
そりゃ私だって好きじゃないけど、彼の嫌がり方が少し気になった。
「人酔いする……」
「あー分かるよ、人の居ない所とかあるのかな?」
「いや、最初くらい何か乗ろーぜ。せっかく来たんだから」
「んー、じゃあ、おすすめは?」
「愛珠が好きなの乗りなよ」
「でも私初めて来たし全然分からない……」
「えっ? 初めて?」
家族や友達と何度も来る人が多いので、確かにこの年で来たことが無いのは珍しいのだろう。
「うん。だから、隼人に着いていきます……」
「分かった、じゃあ定番のから乗ろうか」
そう言って、隼人は人混みの中を私の手を引いて歩き出した。