残酷なこの世界は私に愛を教えた
頭の中で声が響く。
『えー、行ったこと無いのー!? 何で!? どうして!? 普通一回くらい行くでしょ!』
『何でって……』
『行きたいって言いなよ! 絶対連れてってくれるって!』
自分が普通だと思っていることしか受け入れられない友達。
ずかずかと人に踏み込んで来るくせに、何の理解もない。
特定の誰かではない。そういう人がほとんどなのだ。
それとも、まだ幼かっただけだろうか。
まだ、いろいろな人が居るということを理解できなかったのだろう。
だから彼らが悪いわけでは無い。それだけで嫌いになるはずも無い。
それでもやはり居心地は悪かった。
そしてそんなことを思ってしまう自分が醜く思えて、自分が一番の悪者に思えて、その場だけは消えて居なくなりたかった。
って、何考えてんの私。
あーやだやだ。そんな大事じゃなくて、ほんのかすり傷くらいの話。
だから、理由を求めない隼人の隣が心地よかったの。
当たり前の事かも知れない。だけど、私には特別なことのように思えた。