残酷なこの世界は私に愛を教えた
「じゃ、こうしよ。私が隼人の、隼人が私のを買うの。お互いにプレゼントってことで」
こうすれば2つの値段は変わらないし、平等だよね。
「しょうがないな、そうしないと買わないとか言いそうだもんな」
「うん」
そうして私達はそれを買った。
店を出て、彼が「つけよ」とレジ袋からトパーズのネックレスを取り出す。
「ほら、後ろ向いて」
言われた通り背を向けると、少しヒヤッとする感覚と共にネックレスが首に掛けられる。
「友情、希望、潔白だって。石言葉」
くすぐったい感覚が過ぎ去ると首元に黄色の光が輝いていた。
「『トパーズには自分が進むべき道へ導き、人間関係を良好に保ってくれる効果があります。エネルギーを引き寄せるので迷っている時に希望をもたらしてくれます』だってさ」
「いいじゃん。あっ、やるよ」
ガーネットのネックレスを取り出していた隼人に声をかけ、後ろに回る。
彼が元々着けていたシルバーのプレート型ネックレスを外し、新しく妖艶な赤い光を着ける。
「あ、なんか……チャラそうに見える……?」
その破壊的なビジュアルの為に真っ赤な輝きは彼の色気を増大させた。
「えっ!? やだそんなの。外そうかな……」
「なんか珍しくていいじゃん。似合ってるよ」
「絶対思って無いだろそれ」
じとっとした目を向ける隼人を無視して、ガーネットの説明文を読む。
「貞操、真実、友愛、忠実。ガーネットには積み重ねてきた努力を実らせる効果があるって」
「それは受験生に持って来いだな」
「だね」
さっきまで外しそうだったそれを、今度は大事そうに握った。