残酷なこの世界は私に愛を教えた
違和感と美少女

屋上と美少女




◇◇◇




学校が始まった。

あれから夏休みは特に何も起こらなかった。
隼人とテーマパークに行く前のようにただ同じリズムで世界が回っていた。


けど、何故だろう。


おかしい。


そう、心が叫んでいる。



何がおかしいのか自分でも分からない。




「おはよう」



後ろから美里の声がした。



「どうだった? 夏休み」



「普通かな」



私が答えると美里は驚いたような顔をする。



「愛珠、声、出るようになったんだね」



かなりびっくりしたようで、詰まらせたように言葉を発した。




「あ、うん」



「良かったじゃん」



「うん」





それから私達は体育館に移動して始業式をやった。

耳にタコができるような事ばかり言っている校長の挨拶は退屈でイライラした。



やっぱり、おかしい。



早く隼人に会いたい。



これもおかしい。



何も変わってない。

全て変わっている。



自分が分からなかった。

分かるのは、隼人に会いたいって気持ちだけ。

その感情に違和感を感じるけれどそれよりも気持ちの方が強かった。

隼人に会うと落ち着く。何故かとても落ち着く。



早く昼休みになって欲しいなんて思った。






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