残酷なこの世界は私に愛を教えた
「……豪華なのは有り難いけど……量、多くね……?」
私達が食事を終えてもまだ三分の一以上の弁当が残っていた。
「私の計算ではこれは先輩の分ですよ? 先輩少食過ぎません?」
「ちょっと待て、俺は半分以上食ったぞ」
「んー、誰か居ないんですか? 知り合い」
「その文脈からいくと俺が一人も友達居ねえみてえじゃねえか」
「えっ、有名ですよ先輩が一匹狼なの」
「え、嫌だわあそれ」
「でもほんとにこれどうしよう……持ち帰りたくはないし……」
麻由子が困った声を出す。
確かに、作ってきた弁当を持ち帰るのは嫌だよね……。
「あっ、中田先輩呼んだらどう?」
「えーっ……」
隼人は嫌そうな顔をする。
「あいつをここに入れんの? 俺の聖地に?」
「聖地ってそんな……ふふっ、そんなに嫌なの?」
私には凄く仲良さそうに見えるんだけどな。
「いや……うん、しゃーない……しゃーないよな! よし、呼ぼ!」
勢い良く首を振り、隼人はスマホに手を伸ばした。
「既読付かねえな」
チッと軽く舌打ちをして電話を掛け始めた。
「あ、智久? お前今どこよ?」
『あ? コンビニ』
コンビニは学校の目の前にある。
はい?
思わず耳を疑う。
日中は学校の敷地から出てはいけないはずじゃ……?
「なら来れるよな。早く屋上来いよ? 」
『おう』