ギャップイレイザー
これが俗に言う「反抗期」なのかもしれない。

私の何を理解しているの?
私の人生をどれ程狂わせたら気が済むの?
私の人生はーーー

いつも見る悪夢に苛まれる直前で私はヘッドホンを付ける。
大音量で流れるお気に入りバンド【baclover】ーバックローバー ーは反抗期にピッタリの音楽。

「何をどこまでしたら気が済むの?」
「まだ僕は未熟なのに」
「理解出来ない『オトナの波長』に合わせないで」
「僕は」

サビが来る……!
その瞬間、母がノックもせず部屋に入って来た。

この人は何をしたら気が済むのか……

「ねえ夏目……ってまた片付けてないの?ほら」
勝手に触る母親をギリギリで阻止する。
「触らないで!」
それは大事な古雑誌!バックローバーの特集があるその家宝を捨てようとするなんて…分かってない。
「何よ夏目、アンタ何様?」
偉そうに指示するな!と言いたいのをぐっとこらえる。
「……ごめんなさい」
すると母はにんまりと笑って話しかけてきた。
「ちょっと外に着いてきてよ」
そう言って部屋のカーテンを開けた。
数年振りの日光に目が眩む。
その隙に連れ出された時、ふと思った。

……この人は……本当に最悪だ。
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