旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
でも、誰でもいいという訳にはいかない…と話す祖母を、俺は困惑したまま見返した。


「あの庭は、私とお祖父様とが長年大切に守ってきました。そのことを理解して、ちゃんと庭を守ってくれる人にお願いをして。そして、出来ればその手入れを脩也、貴方も一緒にして欲しい。その方と夫婦になって、共に庭を継いでいって欲しい」


その為のお金ならもう用意してあると言われ、俺は納得できないまま、あの家と庭を継がされることになった。


それから家は毎月メンテナンスが入り、きちんと管理をしてくれるんだが、流石に庭を手入れする女子は見つからず、何も出来ないまま、数年手を拱いていた。



そんな時、あの居酒屋で永井さんと出会った。

彼の紹介で未彩と会うことになり、迷いながら『ホタル』へと足を向けた……。


< 109 / 225 >

この作品をシェア

pagetop