旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
気乗りのしないまま暖簾をくぐると、笑顔で俺を出迎えたのは永井さんだ。


「おう、先生、待ってたぞ」


奥の座敷を用意してもらったと言う彼は、相手が来るまで其処で話そうと俺を誘う。


「ちょっと話しておきたいことがあるんだ」


部屋借りるよ、と女将に断りながら奥へと向かい、框を上がって直ぐの和室へと入室。
そこで分厚い座布団の上に胡座をかき、両腕を座卓の上に重ねて俺を見た。


「今から此処へ来る未彩ちゃんは、社内では人気のガーデンプランナーなんだ。

彼女は植物のこともよく知ってるし、プランナーとしての腕も確かだから顧客のウケもいい。
きっと先生ん家の庭も、彼女に任せればいい具合に手入れをするだろうし、それが未彩ちゃんにとって、いい勉強にもなると思う。

…でもな、あの子は庭以外には興味があんまりないんだ。多分、男も知らないと思うし、その所為で意味もなく男共に近寄る傾向がある。よく言えば無自覚って言うのかな。とにかくちょっと、ガキなんだよな」


女性に対する言葉なのかと疑問に思うが、永井さんは至って真面目な顔つきで＿＿。


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