旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
消化がいいように雑炊だけど…と見せられ、ふわっと湯気を立てる卵の雑炊を確認。


「先生が水分だけじゃなくて塩分も補給するように…と言って帰ったから。この補水液をしっかり飲んで、無理だけはしないようにって」


ご飯食べれる?と訊かれ、自信はあまり無いけど、こくっと頷きを返した。

皆藤さんはそんな私の頷きにホッとした様子で、土鍋の中の雑炊を別皿に盛り、それを手に取り、「はい」とスプーンを私に差し向けてくる。


「えっ…」


急に向けられたスプーンに戸惑い、ポカンとしたまま彼を見つめ返した。


「はい、あーん」

「えええっ!?」


急にいきなりそんなこと。されたこともなければ、して欲しいとか願ってもない。

いきなりそんなのされると慌ててしまうし、第一、絶対に慣れてないっ!


「い、いいです」


自分で食べれます、と言うが皆藤さんはスプーンから手を離さず、「いいから」と言うと先を私へと向けて。



「はい」


なんだか嬉しそうに微笑むものだから困ってしまう。
こんな扱いされたことないし、それに昨夜のキスも思い出されて、更に胸が一杯になって……。


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