旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
お昼を食べて、外の木陰でぼうっとした。

風を浴びてると気持ちが安らぐ。
樹々の匂いを嗅いでると、心も少し落ち着いてくる……。




「未彩」


聞き慣れた声がして、何気に後ろを振り返った。
すると、片手にタバコを持った克っちゃんが建物の陰から現れ、私はハッとして、そうだ…と思い出した。


（克っちゃんに日当を支払わないと）


二日間も協力してもらったもんね、と思い出して立ち上がる。

木の側にやって来た克っちゃんはいつぞやの様に不機嫌そうで、私はまだ機嫌を損ねているのか…とウンザリしながら思っていた。


「お前さ…」


タバコを吸って声を出すもんだから煙まで一緒に吐き出してくる。
その白い煙に眉根を引き寄せ、何よ…と短い返事をした。


「お前、熱中症になったんだって？」


桂のおばさんに聞いたと言いながら鼻で笑い、日焼けが嫌だからって予防し過ぎなんだよ、と指摘する。


「いいじゃねぇか、少しくらい日に焼けたって」


そのうち肌も慣れて丈夫になるぞ、と言うもんだから、こっちはとんでもない！と突っぱねた。


< 133 / 225 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop