旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。

私は、さっき別にしなくてもいいと言ったじゃない、と言いたくなる気持ちを堪え、相手を見上げて、「何？」と仏頂面で訊き返した。


克っちゃんは言い難そうに言葉を選んでた。
そんなに勿体ぶって言わなきゃいけないこと？と思う私は段々と痺れを切らしてきて、急かすように、「早く！」と彼に請求した。


克っちゃんから目線が向けられ、その真剣な表情に少し戸惑ってしまう。
何よ、と身構えながら思い、何でも来い！という感じで彼のことを見遣っていた。


「未彩」


真剣な声が聞こえ、またまた何よ…と身構える。
すると、髪の毛をくしゃっと掻き乱す彼が唇を開き、「結婚は解消しろ」と言いだした。



「はぁ！？」


何言ってんの、と思わず声を発しそうになる。
でも、克っちゃんの顔はとても真面目そうで、冗談なんかでそれを言ってるようには見えない。

ただただ唖然としたまま開いた口が塞がらない。
この人、一体何考えてんの？と呆れる気持ちが強くて、暫く何も言い出せずに顔を見つめてしまった。


「……未彩はあいつから良い条件を提示されて結婚に応じたんだろ」