旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
あれでも一応旦那なんだろ、とブスけた表情で続け、じろっと私を睨んでくる。


「それは…」


鋭いツッコミを入れられ、思わず口籠ってしまった。

そりゃ私だって、出来れば皆藤さんに庭づくりを手伝って欲しい。
彼と一緒に出来たら楽しいだろうと思うし、少しは庭にも興味が持てるだろうと思うから。


でも、彼はスーパー税理士と呼ばれるくらいに忙しくしてるし、それにやはり、あの香りの正体も気になって__。



「皆藤さんは、私に庭のことをお願いしてるから…」


あの日、初めてこの家に来て、二人で庭を眺めた時、彼は私がこれからは此処にいて庭も管理してもらえるから嬉しいみたいなことを言っていた。
私もその為に彼と結婚した様なもんだったし、お互いに打算が無いとは言い難い状況だった……。


「彼は、私に好きなように庭を作っていいと言ってくれたんだよ。だから、私は自分の思うようにやってるだけ」


二人でこの庭を眺めた時、綺麗だね…と言い合えるようになっていて欲しいと思ってリフォームを始めた。
でも、この最近は少しでも彼に褒めてもらえたらいいな、とそんなことを思いながら作業をしていた。


< 141 / 225 >

この作品をシェア

pagetop