旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「何だよ、それ」


別に奴のことが好きで結婚したんじゃないのか!?と問われ、一瞬ぐっと言葉に詰まる。

それを否定はできなかった。
打算が先走って結婚して、自分の気持ちを後回しにしてたから。


「未彩、お前…」


じりっと近づく克っちゃんにビクつく。
何を言いだすんだろうと思うと怖くて、思わず後退りする。


ぬっと伸びてくる腕に驚いて目を瞑る。
すると、クシャリと髪の毛を掬われ、ぐっと自分の方へと頭を引き寄せかけた彼が……


「やめちまえよ、そんな結婚生活」


声を吐き出して肩に手を置き、「そんなの間違ってる」と言い始める。


「好きでもないのに結婚とか、どうかしてるだろ」


そういうもんじゃないだろ?と真面目に言う克っちゃんに返す言葉も見つからない。



「……そう…だけど……」


そりゃ確かに最初は打算しかなかった。

彼にプロポーズの言葉を言われた時も魅力に惑わされて、「はい…」と言ってしまった様なもんだったし、結婚した今でさえも、言いたい事の一つも言えずにただただ疑心暗鬼になってるだけ。

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