旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
好きなのか？と問われたらまだ自信もないし、それなのに結婚生活を継続するのか？と言われたら、皆藤さん次第としか答えも出せない。


自分は一体どうしたいの？と自分自身に問いたくなってくる。
皆藤さんのことを、私は一体どう思ってるんだろう……。



（好きなの？どうなの？）


無言のまま黙り込んでたら克っちゃんが苛立ったように歩み寄って、肩に乗っていた手が背中に回されたからビクッとした。



「未彩」


真面目な顔で近寄ってくる克っちゃん。
こんな近距離まで寄られたことがない気がする私は慌てて、腕を伸ばそうとした。


「克っちゃん、やめて」


何だか怖いと思って引き離れようとする。
でも、彼の力は強くて、私じゃ到底及ぶものでもなく＿＿。


「未彩、俺は」


振り絞るような声を発する彼に気を回せるほどの余裕もない。
やめて、離して、とぎゅっと握られた手首を振り回そうとした時＿＿。





「やめろっ！」


怒鳴るような声が聞こえてハッと前を見た。
克っちゃんの体越しに走ってくる人影があり、その姿に目を見張った。



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