旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「自分が未彩に好かれてねぇと知ってるか?」


爆弾みたいな言葉を投下し、ギョッとして克っちゃんを見上げる。
だけど、彼は容赦なく言葉を続け、私が結婚したのはこの庭を好きなようにする為だ、と相手に教えてしまった。


「あんたは最初から、未彩に好かれてもなければ、愛されてもねぇんだよ」


ガツンとショックな一言を言い放ち、私は驚きのあまり立ち尽くしてしまう。
同様に相手も茫然として立ち尽くしてしまい、その姿を視界に収めると、私はぎゅっと胸が張り裂けそうなくらい痛んで苦しくなった。


「克っちゃん、やめて!!」


そんな言葉を皆藤さんに言わないで。
確かに私、打算で結婚を決めたけど、今はきっとそれだけじゃない、と自分ではもう思ってるんだから。


そうでなければ、こんな風に彼の抱えてる秘密が気になったりしない。
訊きたくても訊けない言葉を飲み込んで、彼のことを思って、疑心暗鬼になったりしない。

打算だけじゃない、と胸の中で訴えかける。
でも、そんな思いを皆藤さんの一言が打ち壊した……。



「…分かってるよ、そんなこと」


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