旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。

「皆藤さん…」


不用意に他の男に触れさせないで欲しいと言われたのにこの始末。
克っちゃんの爆弾発言もそうだけど、何もかもが本当にタイミング悪過ぎる。


「あの…」


謝るとしたらどっちから？
それが見出せずに困惑した。



「家に入ろう」


迷ってる隙に彼が声をかける。
でも、その視線は既に後ろへと回っていて、私は彼の背中に向けて、「はい…」と小声で返事するより他なかった。


彼に自分の気持ちを知られたのがショックで。
しかも、それはまだ確定もしてないことなのに…と悔しくなった。



（皆藤さん、私……）


背中を見つめながら、走り寄りたい気持ちと泣き出したい気持ちが入り混じり、混沌としながら地面を見て進んだ＿＿。