旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
最初から勿体無いくらい素敵な相手が旦那様だと思ってた。
だから、今更真実を話されたところで大袈裟に驚いたりはしない。


(ちょっとはショックも感じるかもしれないけど、ちゃんと手を離す覚悟はあるから……)


ぎゅうっと手を握り直して、もう一度覚悟を決め直す。
私がもしも離婚することになったりすれば、おばあちゃんはきっと悲しんでしまうとは思うけど。


(仕様がないよ。私には最初から出来すぎた旦那様だったし)


条件も合って、打算で決めたようなもんだった。
だから、もう何を言われても___。


ショボンと肩を落として彼の答えを待つ。
言うなら早く…と頭では思っても、胸の内は何も聞きたくないと耳を塞ぎたい心境だった。



「あのさ…」


ぼそっと声を発する彼。
その先を聞くのも本当はやめたい感じで彼の顔を見直した。


「その香りって、まさか……あれ?」


え?まさか、知らない?…とまるで何も知らない私がどうかしてる様な雰囲気。


「いや、まさか、でも…えっ?」


もう何が言いたいのか益々分からなくなってくる。

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