旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
だからもう隠さないで、と胸の中で思って彼を見返す。
皆藤さんは、そんな私の思いを受け止める様に瞼を一度閉じて開け、喉元を動かして囁いた。


「話すよりも実際に見た方が納得できるのかな」


仕方ない、じゃあそうするか…と大きく息を吐いて。


「その前に汗を流しておいで。それから二人で外へ行こう」


自分もシャワーを浴びて着替えてくると言い、和室を出ようとする彼に。


「シャワー…って」


まさか一緒にお風呂に入るつもり?まだキスだけしかしてない私達に、いきなりそんなハードルの高いことを要求されても……


「ああ、大丈夫。俺の部屋には簡易のシャワールームが設置されてるから」


仕事がら帰りの遅い日が多く、この家に住み出してから自室だけはリフォームしたんだと付け加えてくる。


「だから未彩さんはゆっくりお風呂に浸かって。着替えが済んだら声をかけて」


じゃあね、と言って和室を先に出てしまう。
こっちは呆気に取られてなかなか動けず、まだ意味が分からず呆然と立ち尽くしてるのに__。


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