旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
わざと税金逃れをしたと思われても仕様がないと怒ってる。
それに対してママは、そこまで税金が複雑だと思ってなかったのよ、と反論し、申し訳ない顔をして私に謝ってきた。


「新婚ホヤホヤの時にお邪魔してごめんなさいね。こんな事言いながらも脩也君、人がいいから私を見捨てておけなかったみたいで」


お陰で本当に助かったわ、とお礼を言ってる。
だけど彼は、何だ今更…と憤りを隠せない様子で、呷るようにロックのグラスを傾けた。



「あの…」


それって何。全部、私の勘違いだったの!?


(あの甘ったるい香りは消臭剤で、ゴールデンウィーク中に呼び出してきたのは女性でなく、この人)


それで、所長さんも彼が誰に呼び出されたのかを知らずに家へ来たってこと?
そう言えば、次の日も同じ香りがしたし、でも、この最近はまた別の香りが……。



(じゃあ、あれは何の香り?)


ソープのような香りを漂わせて帰ってくることがこの最近あった。
私が熱中症でダウンした時、買い物をして戻った彼から漂ってきたあの匂い。


あれは一体どこで付けられたものなの?
私の知らない秘密が、他にもまだあるの!?


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