旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。

そんな言い方をしないで、もっと正々堂々と君にプロポーズをすれば良かったのに、君にあの場で逃げられたくなくて、あんな言い方しか出来なかった。

……結果、君とは結婚できて俺は嬉しかった。でも、こんな俺と一緒になって、君は本当に幸せかどうかが自信なかった。

打算で結婚を勧めるんじゃなかった…と後から悔やんだ。
君が俺よりも庭を大事にして、それも少しだけ悔しかった。

同僚にもどうでもいい嫉妬を感じたし、こんなにも君が好きでいるのに、計算高く条件だけを目的として会って、その上打算を勧めた自分が恥ずかしくて、気持ちを上手く伝えられなかったんだ。

俺は、今でも庭づくりとか関係なく、君に会いたかったと思ってる。
何でも好きにしていい、なんて打算的なことも言わず、ただ単純に、君に一目惚れしたから結婚して欲しい、とプロポーズをやり直したい」


それがずっとしたかったことだ…と言うと、ジャケットのポケットに手を突っ込み、小さな箱を取り出した。
家を出た時からずっと、何処で手渡すのが最良かな…と思い続けて、この場所まで来たらしい。