旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
あれは単なる思いつきで行動してただけで、それもあんたが毎回ホイホイ言って仕事に協力してやってたから、今回もそれと同じノリで、同僚としてあんたに重機を出して欲しかっただけでしょ」


それに乗るあんたも悪い!とキッパリ言い切られてしまい、そういう言い方ってねぇだろ…と若干気落ちする。


「まあね、あの天然さで真っ向から頼まれたらなかなか断れないのは分かるよ。あんたはずっと未彩ちゃんのことが好きで構ってやってたみたいだし、急に結婚して他の男のものになったからって、その恋心がパッと消えるもんでもないしね。
…でも、あんたは今回首を突っ込み過ぎたんだよ。何せあの子の旦那はスーパー税理士で、仕事は出来るし顔もいい。おまけに大きな屋敷と金まで持ってる、三拍子も四拍子も揃ってた相手なんだから」


あんたじゃ比較にならない…とバカにして笑い、こっちはぶうたれて酒をぐいっと呷るしかなくなる。


「それにあんたには教えとくよ。未彩ちゃんがあっちを選んで、あんたには全く靡かなかった理由」


知りたいだろー?とニヤつきながら聞くもんだから、勝手に言いたければ言えよ、とタバコを掴んだ。


< 221 / 225 >

この作品をシェア

pagetop