旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「会った翌週には結婚すると言ってきたし、それには流石にビックリして耳を疑ってしまったけど。…でも、結婚してからは物憂げな顔をしてたり、変に浮かれてたから色々と見てて面白かったよ。あんたもいい感じで二人の間に割り込もうとしているようだったし、それを見ながらこっちは楽しませて貰った」


だけど、ひと月もしないうちにすっかり夫婦として落ち着いてしまい、その後は全然詰まらない…とボヤきながら焼き鳥に噛みつく。


「未彩ちゃん最近色気も出てきたよね。あんな何も知らなさそうな感じの子だったのに、妙に艶っぽく見える時もあるし、たまにはさ、赤い印を首元に付けてるのがちらっと見えてたりもしてさ」


あれ絶対魔除けだよねー、とニヤニヤしながら俺を見遣る。


「今は新婚旅行でフランスへ行ってる最中でしょ。憧れのモネの庭を行くのがあの子の夢だったし、それをきっちり叶える辺りも流石だよね」


その上、秋には短期留学かぁ…とまた羨ましそうに溜息を吐く。



「……ホンットに気に入らねぇ」


タバコに火を点け、フゥーッと勢いよく煙を吐き出した。


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