旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「ねぇ、ゴールドカードって、こんなに簡単に渡してもいいものなの!?」


誰も居なくなった玄関先で、私は思わす声を発した。

そりゃお金を頂かないと買い物には行けないし、金額も幾らかかるかは分からないから、カードを貸してもらえるのなら、その方が気兼ねなく使えて助かったりもするけど。


「でも、ゴールドカードって、存在しか知らない代物だったんですけど!?」


本当にいいの?と思うが、これを借りる以外に今は方法がない。

なにせ連休中で銀行も休みだし、キャッシュコーナーでお金を引き出すと手数料がかかるし、通帳内に入ってる自分のお金は、いつか行きたい場所の為にずっと貯め続けてきた大事な貯金でもある。

だから……



「ごめんなさい!有難く使わせて頂きます!」


散々悩んでカードを掲げ、へへーっと深く頭を下げた。

まるで、すごくお金持ちになった様な気分もするけど所詮は庶民。
大きなお金の使い方は出来ず、きっちり必要な分だけを買い揃えて帰宅した。



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