旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「おかえりなさい……あっ!」
意気揚々とドアを開けた私は、見たこともない相手に気づき、ビクッと背筋を仰け反らせた。
「おや?」
シルバーヘアに黒縁のメガネを掛けた中年男性は、面識のない私を見つめるとパチパチと数回瞬きをして、ニコッと人の良さそうな笑顔を浮かべた。
(誰!?この人)
警戒しながら相手を睨む私は、ひょっとして泥棒!?と身構えそうになった。
「君は……もしかして、未彩さん?」
窺うように名前を呼ぶと、彼は「初めまして」と頭を下げ、ズボンのポケットに手を突っ込むと財布を取り出して、中から一枚薄い紙切れをすり抜いた。
「私は皆藤君と同じ税理士事務所で働いている、塩田と申します」
断りながら出されてきた名刺を受け取って見ると、肩書きはなんと、『所長』と印字されている。
「しょ、所長さん!」
ヒェーッと慌てた私は直ぐに深く頭を下げ、「こんばんは!」と焦りながら挨拶をした。
所長さんとは式の準備中でもお目にかかったことがなく、全くもって初めての顔合わせだったから緊張が走った。
意気揚々とドアを開けた私は、見たこともない相手に気づき、ビクッと背筋を仰け反らせた。
「おや?」
シルバーヘアに黒縁のメガネを掛けた中年男性は、面識のない私を見つめるとパチパチと数回瞬きをして、ニコッと人の良さそうな笑顔を浮かべた。
(誰!?この人)
警戒しながら相手を睨む私は、ひょっとして泥棒!?と身構えそうになった。
「君は……もしかして、未彩さん?」
窺うように名前を呼ぶと、彼は「初めまして」と頭を下げ、ズボンのポケットに手を突っ込むと財布を取り出して、中から一枚薄い紙切れをすり抜いた。
「私は皆藤君と同じ税理士事務所で働いている、塩田と申します」
断りながら出されてきた名刺を受け取って見ると、肩書きはなんと、『所長』と印字されている。
「しょ、所長さん!」
ヒェーッと慌てた私は直ぐに深く頭を下げ、「こんばんは!」と焦りながら挨拶をした。
所長さんとは式の準備中でもお目にかかったことがなく、全くもって初めての顔合わせだったから緊張が走った。