旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「お前、そういうのは俺じゃなくて旦那に頼めよ。結婚してまで他の男に甘えてんじゃねえ」


いい加減にしろ、とまた怒り、それでもやっぱり引き下がれない私は……


「彼に言えたら最初から克っちゃんには頼まないよ!彼に言えないから、克っちゃんにお願いって、頭を下げてるんでしょ!」


あんなスーパー税理士と呼ばれる旦那様に、扱ったこともない重機を扱って、と誰が言える?
それに言えれば苦労はしないし、自分が扱えるものなら扱って、最初から誰にも頼らず、さっさと自分一人でやり始めてるよ。



「お願いだから手伝って!私一人じゃ思うような庭に出来ないの!」


こっそり作り変えて旦那様を驚かせたい。
そういう気持ちを口には出せず、取り敢えず自分一人の願望のように訴えた。


「重い物もあるからついでに運ぶのも手伝って欲しい。全部やってくれたら日当も倍出すし、本当に言うことも聞くから!」


もう必死でお願いして、是非ともどうか…と頭を下げる。

私に腕っ節を掴まれたままの克っちゃんは、やめろ、と腕を振り回そうとするんだが、スッポンのように掴んでる私の手は、なかなか振り切れない様子で__。


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