旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「ああもう、いいよ。分かった分かった!やってやる!」


面倒くせー、と怒り口調で腕を振り離した彼は私を見下ろし、さっきの言葉に二言はねぇだろうな!?と問い(ただ)してくる。


「ありません!」


キッパリ断言するとハァーッと深い溜息を吐かれ、「全くもう」とか「あり得ん」とか、散々独り言をこぼしてた。


「仕様がねぇな」


肩を落とす相手に喜び勇んで、「ありがとう!」とお礼を言った。

一人ニコニコしながら「助かるー」と顔を綻ばせる私の隣で、事務員の桂さんだけは微妙な顔つきで、じっと気の毒そうに克っちゃんの顔を覗き込んでた。


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