旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
その日、仕事から帰った私は今朝の彼の言葉を信じ、二人分の夕食を作って待ってはみたんだけど＿＿。


「何よ。やっぱり遅いんじゃない！」


ジロッと睨み上げる時計の時刻は既に午後八時過ぎ。
税理士という仕事はこんなにも遅くなるものなの！？とブツブツ小言を言いながら夕食をタッパーに詰め、昨夜と同じように冷蔵庫へ保管。


もう待たない…と決めて踵を返してお風呂に浸かる。
入浴後は、彼が帰ってくる前に寝てしまおうと部屋に向かい、どさっとスプリングの効いたベッドへと身を沈めたんだが＿＿。



「あーもう、イライラするっ！」


上半身を起こして声を発した。
こんなに遅くまで仕事をするなんて、彼はどれだけ物好きなの。


「ああ、でも、もしかしたら仕事じゃないかもしれないんだ」


あの香りが意味するところを思い浮かべてムッとした。
もしも、あの香りが意味するところが私の想像通りなら、どうして私と結婚したの？とますます疑問が膨らんでく。


「妻になるのは、私じゃなくても良かったんじゃないの！？」


自分の条件にピッタリだと皆藤さんはそう言ってたけど＿＿。


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