旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「それに、まさかこんなにあっさり結婚決めるとは思ってもなかったみたいで、余程条件が良かったんだろうと言ってた」

「条件?」


何それ…と驚く私に、克っちゃんは渋い顔つきのまま。


「よほど好きに庭を作ってもいいと言われたんだろうと予想してた。でないといくらイケメンでも、そうそう簡単に結婚は決めないだろうし、そういうのには興味無さそうだったお前が、即座に決めてくることもなかっただろう…って」


何かいい条件でも出されたのか?と言われ、私は完全に固まってしまった。


「え…いや、あの……」


確かに庭を作りませんか?と彼には言われた。

私が彼の思う条件にピッタリだと言われて、本当に真面目に、「結婚しよう」と言われたから、その場の雰囲気に流されるように、「はい…」と返事をしてしまっただけ。



「未彩」


ずいっと近寄る克っちゃんにビクついて仰け反る。
あれこれ聞かれるとマズいような気分もして顔を曇らせながら、「そ、それだけで決める筈ないじゃん」と焦った。



「ちゃんと彼をいい人だと思ったから決めたのよ!」


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