旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
もっと飲みたい…と思いながら、喉が異常に乾いてると気づいた。
そう言えば何も飲まずにずっと動いてたんだ…と思い出し、ひょっとしてこれって脱水?…と頭の中で考えた。


「んっ…」


水分と思われるものが少し多めに口の中に入り、必死でそれを喉へ送り込もうとする。
でも、少し量が多すぎたようでゲホッと咳き込み、体を曲げてゲホゲホ…と数回繰り返した。


「未彩…!」


声が聞こえ、はっ…と息を止める。
無意識で、克っちゃんか…と思い、小声で彼の名前を呼んだ。


「克っちゃん…?」


顔も見ないでそう言うと、相手は返事もなく黙り込む。
それでも私は目を開ける気力もなく、そのままグッタリとして意識を失ってしまった__。




目覚めると部屋の中だった。

見慣れたベッドで眠る私の腕には点滴の針が刺され、チューブはベッドサイドに置かれた点滴棒へと延びている。



(私……)


何故こんな所で寝てるの?と思い、点滴袋を見遣る。
確かさっきまでは庭にいて、必死で作業をしていた筈なのに……。

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