涙のち、銃声
朝になって目が覚めたら、ビッショリと濡れたパジャマと共に熱は下がっていた。
「お母ちゃん・・・お父ちゃん・・・
・・どこ・・?」
リビングに行くと、
いつもの朝の騒がしさが無かった。
閑静な空気が包む中、ゴローちゃんが1人でじっと正座して私を待っていた。
「アズサ様・・・・。
お加減のほうは・・?」
「薬飲まなくても治ったよ!」
「・・・お強いですねアズサ様は・・。」
「・・・・・?
ゴローちゃん、どうして泣いてるの?」
「・・・・・・・。」
「お母ちゃんは?お父ちゃんは?」
「おやっさんは今・・病院にいます。」
「え!?もしかしてお父ちゃんに風邪移しちゃった?」
「・・・・・・アズサ様・・。
お気を確かにしてお聞きください・・。」
「・・?」
「・・・・姉御が・・・・
お母様が・・・車に轢かれて・・。」
ゴローちゃんは正座の形を崩さず、
全てを受け入れてくれた。
その頭を叩いても、
そのお腹を蹴っても、その胸を突いても。
“ウソだ!ウソだ!”と泣き叫びながら当たり散らす私を瞬き一つせず、
真っ赤に充血した涙をこぼしながら、
全てを受け入れてくれた。