涙のち、銃声
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「車種が断定出来ました。
現在、車当たり捜査に移行していますのでもう時間の問題です。」
「必ず捕まえます・・・。
一日でも早く、
奥様の無念を晴らします・・!」
「・・・はい・・・すみません・・。
よろしくお願いします・・・!」
警察の人達は、
毎日のようにウチへ来てくれた。
あの頃は今と違って、コンビニも・・そして“防犯カメラ”も多くは無い時代。
だけど警察の人達の捜査は日々前進していると、お父ちゃんとの会話を陰に隠れて聞いていた。
「どうだ・・・アズサ・・?」
「・・・・美味しくない・・・。」
「え・・・・・そうか・・・。」
「・・・・スッ・・・スッ・・・
・・お母ちゃんのご飯が食べたい・・
・・スッ・・お母ちゃんのご飯が食べたい・・・。」
ウチからドンチャン騒ぎは消えた。
お父ちゃんが、ゴローちゃんが、
タク坊が、従業員のみんなが。
慣れない手さばきで料理を一生懸命作って、私に食べさせてくれた。
だけど・・・自分を呪っていたはずなのに、
みんなが施してくれたありがたみを感じる事を忘れ、出された料理をいつも残しては、
部屋に閉じこもって、お母ちゃんが小さい頃に買ってくれたウサギのぬいぐるみを抱き締めていた。