涙のち、銃声
「被害者は村山 セイコ 33歳。
全身を強く打ち、残念ながら・・事件当日、搬送先の病院で息を引き取りました。」
この手の捜査に慣れていないのでここは真田さんに任せる。
俺の視線を受け取った真田さんがウンと頷いてくれた。
「時間帯は23時か・・。目撃者は?」
「現在も呼びかけを続けていますが・・いないです・・。」
「じゃあどっちが信号無視したかは分からないか。」
「あ!多分加害者側だと思います!」
「あれ?どうして?」
「ここの信号、夜間になると歩行者用は押しボタン式に変わるんです。ほら。」
凛子ちゃんが信号機近くに小さく表示されていた標識を指さす。
「やっべ・・見落としてた。」
「猿も木から落ちるっすね。」
「あのな、俺だって慣れてるわけじゃないんだぞ。」