涙のち、銃声
「被害者は恐らくボタンを押してから横断歩道を渡ったはずなので、
その時はこっち側が青、
そこに・・・ドンッ!って。」
凛子ちゃんが忙しく走り回って、
その時の状況を全身で体現する。
あの初々しさというか必死さというか・・自分が新米だった頃を思い出す。
「・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・。」
「真田刑事?どうされました?」
「あ、ごめん。
これは考え事する時の癖だからお構いなく。
それで、現場に車の破損部品は落ちてた?」
「はい!車種の特定をしようと思った所で・・みんなインフルでダウンです・・。」
「あ、じゃあそれは後にしよう。」
「「え?」」
凛子ちゃんと同時に疑問符を出す。
てっきり“それを急ごう”と言うかと思ったら・・
「真田刑事、どうしてですか?
一刻も早く加害車両を・・。」
「凛子ちゃん。
“郷に入れば郷に従え”って言うけど、
まずは俺ら流で捜査させてもらうよ。」
「・・??」
「どういう事ですか真田さん?」
“バカ”という言葉と共に頭をはたかれる。