涙のち、銃声


「被害者は恐らくボタンを押してから横断歩道を渡ったはずなので、

その時はこっち側が青、
そこに・・・ドンッ!って。」


凛子ちゃんが忙しく走り回って、
その時の状況を全身で体現する。


あの初々しさというか必死さというか・・自分が新米だった頃を思い出す。



「・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・。」


「真田刑事?どうされました?」


「あ、ごめん。
これは考え事する時の癖だからお構いなく。

それで、現場に車の破損部品は落ちてた?」


「はい!車種の特定をしようと思った所で・・みんなインフルでダウンです・・。」


「あ、じゃあそれは後にしよう。」


「「え?」」


凛子ちゃんと同時に疑問符を出す。


てっきり“それを急ごう”と言うかと思ったら・・


「真田刑事、どうしてですか?
一刻も早く加害車両を・・。」


「凛子ちゃん。

“郷に入れば郷に従え”って言うけど、
まずは俺ら流で捜査させてもらうよ。」


「・・??」

「どういう事ですか真田さん?」


“バカ”という言葉と共に頭をはたかれる。


< 28 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop