涙のち、銃声
「小西君よ。刑事課 強行係の人間だったらまず何する?」
「え~っと・・・・
・・・・・・!?」
慣れない交通事故事案に戸惑いもあったけど、
頭をはたかれて、
ようやくいつものスイッチが入った。
「“被害者について”調べる!」
「そういう事。」
「被害者を・・?
真田刑事、そのお心は?」
「凛子ちゃん、君たち交通課が扱う事案はそのほとんどが“事故”。
だから徹底的に加害者を追うと思うんだけど・・・俺達は普段“殺人”を扱ってる。
犯人を追う前に、【何故この人は被害者となったか】を調べるんだ。
どうしてこの時間、
この場所にいたのか?
何かトラブルを抱えていなかったか、
誰かに恨まれていたのか?
そうすれば犯人像も同時に見えてくる。」
「という事は・・つまり・・・?」
「いいねぇ。
飲み込みが早い子は好きだよ。
資料にも書いてくれてるけど、
今回はブレーキ痕が全く無い。
これは“たまたま起きた事故”なのか。
それとも“狙って起きた事故”なのか。
・・・・もしかしたら後者、
今回は“車”という凶器を使った殺人事件かもしれないぞ。」