涙のち、銃声
“勘が良い”と言えばそれまでだけど、
この時の私は不思議に思っていた。
いつもウチに来る“2人”の警察官。
いつも1人が淡々と状況を話して、
もう1人が“必ず捕まえる”、
“奥様の無念を晴らす”と、
“精神論”のような事を言っていた。
だけどこの日、その人は口を紡いでずっと目線を下にしていた。
「・・・アッ・・・・。」
「・・・・・・。」
淡々の人が“帰ります”とお父ちゃんに告げた後、ふいに精神論の人と目が合った。
盗み聞きのような行いをしていたので怒られるかと思い、思わず小声が出た。
でも・・・その人は声には出さず、
3文字分だけ口を動かした。
当時の私は分からなかった。
でも今ならハッキリと分かる。
その人は、“ごめん”と私に告げたんだって。