涙のち、銃声
――――――
【桐谷アズサ】から、【堀部アズサ】へ。
お母ちゃんの旧姓・・
お婆ちゃんの苗字に変わり、
私はずっと暮らした・・
お母ちゃん、お父ちゃん、従業員のみんなとのたくさんの思い出が詰まったこの家を出た。
引っ越しの日、
お父ちゃんの姿は無かった。
“ミヨちゃんの家に行っている”
と教えてくれたゴローちゃんが、
代わりに荷物の運び出しを手伝ってくれた。
「じゃあアズサ様。お元気で。」
「・・・・・・・・。」
「もう会うことも無いでしょう。」
「ゴローちゃんも・・元気でね・・。」
「・・ようやく肩の荷が下りましたよ。
おやっさんには一生懸けて付いていくだけの恩義がある。
でもお前はただの娘。
なんでそんな奴にまで気を遣わなくちゃいけないのかとストレス溜まってたけど、
それも今日で終わりだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」