涙のち、銃声
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「へぇ~大したもんだ。」
交通課の作業場に戻って、
ファイルを一冊一冊眺める。
先人達のこれまでの捜査の・・
“努力の結晶”という表現がピッタリな、
国産車、外国車の外観、部品、
色のバリエーションが纏められた情報。
「こんだけあれば、
すぐにヒットしそうっすね。」
「まさかここまで凄いとはな。どうりでウチより解決スピードが速いわけだ。」
真田さんと夢中になってファイルを漁っていると、
デスクトップを操作していた凛子ちゃんが俺達を呼ぶ。
「現場に残っていた破片から推測して、
これが濃厚です!!」
画面に表示された、
国内メーカーのとある車。
「よりによってこいつか・・。」
街中、至る所で走っている、
この辺りでは一番人気の車だった。
しかも・・・
「色は一番使用者が多い白です。
国土交通省に問い合わせた所、
ムコウジマ市内だけで、
ざっと300台は所有者がいます・・。」
一台一台、妙な破損、
欠損していないか確認する、
“車当たり捜査”が始まろうとしている。
俺たち刑事以上に、交通課の人達も“足”で稼ぐ苦労があるのを痛感させられる。