涙のち、銃声


「・・・それで?

どうしてそんな重大機密を俺に話してくれたんですか?」


「お願いします桐谷さん。
この話をマスコミに流してください。

私が動けば、すぐに上層部の目に留まって握り潰される。

この腐った組織を正すには、

マスコミの力を・・大衆が巻き起こす風が必要なんです・・!」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・。」


「・・・・・フッ・・。」


「・・?」


「ガハハハ!!

そういう事だったのか刑事さん。
いやスッキリした。」


「・・・・。」


「あんたはずっと自分の“無力さ”を嘆いていたのか。ようやく色々と辻褄が合った。」


「では・・マスコミに・・!」


「お断りします。」


「!?」


「刑事さん。あんた勘違いしてる。
確かにヒロコが死んだのは悲しい。

だけど俺達の夫婦関係はもう冷め切ってたんだよ。」


「・・・・・・・・・。」


「“警察組織を変えたい”という、
あんたの“正義”に俺を巻き込むな。

あと1つ言っておくが、

俺だって小さいながらもこの会社を経営する“トップの人間”だ。

組織を守る為に協力会社との癒着が発生したり、あんまり公には出来ない事もしてきた。」


「・・・・・・・・。」


「もっとハッキリ言ってやろう。

俺はあんたが憎んでる警察上層部の立場や考えを、“理解出来る人間”ということだ。」

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