涙のち、銃声
「タク坊がいない・・。」
全員だと思っていたけど・・
よく見たらタク坊だけがいなかった。
もしかしたらタク坊は何か知ってる・・?
そう思ったけど、
私はこの事件が起きた後、すぐにお婆ちゃんと一緒に埼玉へ引っ越した。
多分お婆ちゃんは私への悪影響を考えて、
一刻も早くムコウジマを出たかったんだと思う。
お父ちゃんが死んでしまった。
ゴローちゃんが、
みんなが死んでしまった。
本当はもっと悲しまなければいけなかったのかもしれないけど、
この時の私は、“自分も死のう”という事を強く感じていた。
それでもまだ細い糸一本で“生”にしがみついていたのは、
お婆ちゃんがその腕の中で毎晩私を眠らせてくれたから。
そして・・・埼玉で待っていたお婆ちゃんの親戚の人達が私を温かく迎え入れてくれたからだった。