涙のち、銃声
「・・・・!・・・・!!!?」
綺麗に折られたその鶴を手にとって眺めているうち、
呼び起こされるかのように頭の中いっぱいに記憶が蘇った。
“どうぞアズサちゃん!
折り紙で作った鶴です!”
“おいタク坊。
誰に向かって口聞いてる?”
“いいのゴローちゃん。タク坊にそう呼んでってアズサからお願いしたの!”
“ガハハハ!おいタク坊。今度アズサに折り方教えてやってくれ。”
“きょ・・恐縮っす!”
「アズサ?どこ行くの!?
もう夕飯出来るよ!」
お婆ちゃんの呼び止める声が聞こえたけど、夢中で外に飛び出した。
「タク坊・・・・タク坊・・!!!」
封筒の中には折り鶴以外何も入っていなかった。
封筒の裏に書いてあった差出人は、
聞かない名前だった。
でもその折り鶴を触って記憶が蘇り、
無意識に鶴を解体した。
青色の折り鶴。
私が好きだった色。
その裏、白い部分にメッセージが書かれていた。
【生きてくださいアズサちゃん。
それがおやっさんの願いです。】