涙のち、銃声
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<もしもし、堀部です。>
国際電話のコール音が何回か鳴った後、目的の女性が電話に出た。
「ムコウジマ警察署 交通課の橘と申します。
事前に会社の方から連絡が入ってると思いますが・・・・・」
凛子ちゃん、真田さん、俺。
こちらの自己紹介を済ませた後、
凛子ちゃんから簡単な事情を説明してもらう。
轢き逃げ事件の事は伏せて、
堀部アズサが所有している車と、
同じ種類の車を捜査していると伝えた。
「それで堀部さん。
今お車はどちらに・・?」
<マンションの駐車場に置いてあるはずですけど・・・?>
「え・・?」
凛子ちゃんが言葉に詰まったので俺が代わる。
「堀部さん。勝手ながらご自宅マンションの駐車場をこちらで何度も訪問しました。
しかし、あなたの車はそこには無かった。」
<そんなはずありません。
私が日本を発った時、
確かに車は置いていきましたから。>