涙のち、銃声
・・・・・どういうことだ・・・?
「もしかして・・・盗難・・・?」
凛子ちゃんが親指と人差し指の間を顎につけて、名探偵ポーズを取る。
<あの・・刑事さん。
私の車は本当に無かったんですか?>
「はい・・・。
堀部さん、少しお待ち下さい。
小西刑事、真田刑事。
もしかして犯人は堀部さんの車を盗んで、
それを使って村山さんを轢き殺したんじゃ・・?
“盗難車”だったら、“足がつかない”と考えた上で犯行に及んだ・・?」
真田さんの最初の見立ては正しかった。
もうこれは単なる轢き逃げ事故じゃない。
被害者 村山セイコが月一で帰宅時間が遅くなる日に、“盗難車”を使う用意周到な犯行。
これは・・・“計画殺人”だ。
だとすると犯人は、
①堀部アズサがアメリカにいて、
長期不在という事を知っていた
②村山セイコの営業会議のスケジュールを把握していた
人物という事になる。
決して捜査が振り出しに戻ったわけじゃない。
・・手掛かりは・・ゼロじゃない。