涙のち、銃声


「なるほど・・・・・それで?
カマには引っ掛かったんですか?」


「ああ。」


驚きと共に、さっきの電話の会話で引っ掛かっていた事がすぐに頭の中に浮かんだ。


やっぱり真田さんはわざと・・・


「被害者の名前を間違えたのはわざとだったんですね?

なんで村山セイコの事を村山“ダイゴ”って・・。

ご自分の名前と言い間違えたんだろうって、“?”でした。」


「車の行方は凛子ちゃんに任せるとして、
俺達はアズサについて洗おう。

本当に半年前からアメリカにずっといるのか、犯行直前に帰国してないか、な。」



・・この人は味方ながら、
恐ろしいと改めて感じる・・。


アズサも真田さんの事をよく知っていたら慎重に受け答えしただろうに・・。


恐らく真田さんの“嘘”揺さぶりに、

“自分に疑いの目が向けられたらマズイ”と一瞬焦ったんだろう。


わざわざ真田さんが“村山ダイゴ”という被害者の名前を伝えたのに、

アズサは『【彼女】とは面識が無い』と口を滑らせた。


これはつまり・・・
アズサは村山セイコの事を・・

“被害者は女性”だと知っていたという事になる。






第5話 完





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