涙のち、銃声
「真田さん!」
村山の会社を出た後、
真田さんと合流した。
「すみません、収穫無しです。
もうちょっと調べさせて下さい。」
「こっちは悪い話だ。
アメリカに行ったっきり、
1度も帰国した形跡が無い。
どんなトリック使ったんだよまったく・・。」
今日も元気についた寝ぐせ頭をポリポリと掻きながら助手席に腰深く座る。
パスポート、入出国審査、税関。
そこには必ず記録が残る。
国内ならまだしも、海外に滞在していたとなれば工作はほぼ不可だ。
となると可能性としては・・・
“ブー ブー”
タイミング良く俺のスマホが鳴った。
「凛子ちゃんです。」
スピーカーにして電話を取った瞬間、
徹夜明けとは思えない、
元気いっぱいの声が聞こえてきた。
<真田刑事!小西刑事!
見つけました!!>
「車見つかったの?」
<あ、ごめんなさいまだです・・。
でも!堀部さんの自宅マンション駐車場の防犯カメラを追っていたら・・
怪しげな人物が!!>
電話を切るとすぐにアクセルを踏み込む。
「俺らも凛子ちゃんを見習わないとな。」
「ですね。」
収穫“0”の俺たちと違い、何かを発見した凛子ちゃんが待つ署へと急いだ。