団子と野良猫

鬼ごっこ

「……僕の家の鍵!?」

「兄ちゃん、取り返してみな」

少女は鍵を咥え、猛ダッシュする。
生憎運動不足の俺はどんどん距離を離される限り。

「……ま、待て!それは、マジで……」

「……串本っていうのか、兄ちゃん」

少女はにんまりと笑って俺の心を抉る爆弾発言をした。

「団子屋にピッタリの苗字だな」

「……それ……言うな…!」

「じゃあね」

「ッ!」

俺は全速力で走った。
これでも昔は県大会1位だったのだから。

「兄ちゃん、なかなか速いな…!」

彼女は角を急カーブで曲がったので自分も追いかける。

ーしかし、そこに彼女の姿は無く、ただ鍵だけが落ちていたー
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