次期院長の強引なとろ甘求婚
お湯の中で背後から腕を回され、少し治まっていた鼓動の高鳴りが再び激しく音を立てていく。
「これからのこと、話してもいい?」
「これからのこと……はい」
「未久のご両親には挨拶させてもらったから、一度お互いの家族で顔合わせとかしないといけないよね。あ、未久がうちの両親に会うのが先かな」
「樹さんの、ご両親……!」
お父様もお母様もお医者様だと聞いているせいか、緊張はより一層高まる。
うちの両親とはタイプも雰囲気も、絶対に違うはずだ。
今からお会いすることに気後れしそう……。
「緊張、しますね……」
「そう? 大丈夫、別に普通の人たちだから」
「いえ、絶対そんなことあるはずないです。だって、お医者様のご夫婦って……」
どこか声が深刻な調子になってしまう私を、樹さんはふっと笑う。
そして「ま、相手の親に会う時は緊張するものだよね」とそこには同意してくれた。
「でも、結婚相手は親じゃなくて俺なんだから、変な心配して、勝手に不安にならないこと」