次期院長の強引なとろ甘求婚
だって、そこに見えた横顔。デスクにつき、パソコンのモニターを見ているその人は、よく知っている顔。
あの、花束を定期的に買いに来る、素敵なスーツの彼……その人なのだ。
「こんにちは、どうぞ」
ドアを半分開けた不自然な姿勢で固まっている私に、彼は普段と変わらずにこやかに声をかけてくる。
いつもと違うことといえば、スーツのジャケットの代わりに白衣を羽織っているということ。
動かない私に、「とりあえず、入ってください」と苦笑した。
「は、はい……失礼、します……」
状況が把握できないまま、診察室へと入り扉を閉める。
何、どういうこと?
そこにその格好で座っているということは、病院の先生……え、ここの病院の先生だったの?!
「どうぞ、かけてください」
「はい……あの」
おずおずと用意されていた椅子にかけながら、言葉を探す。
するとそれを察したように、彼は椅子ごと私に体を向けた。
「三角と申します。ここの、心療内科医をしています」