次期院長の強引なとろ甘求婚
「え……?」
「根本から解決するのが一番だと思うんだ。だから、良かったら話してほしいなって」
病院の先生と話しているとは思えないことを突然言われ、思わず顔を上げて三角先生の顔を見つめていた。
私と目が合った三角先生は、花を買って帰る時に見せてくれるいつもの穏やかな笑みで頷いてくれる。
黙って私が話し出すのを待ってくれる三角先生に心を許し、ぽつりぽつりと、今悩んでいるお店のことを話し始めた。
この間、突然両親から店じまいすると話されたこと。
店を畳んで、今度は花を作る仕事を地方で始めるということ。
だけど、これまでうちを贔屓にしてくれている常連様のことを思うと、やりきれないという率直な気持ち。
気づけば心にある不安や悲しみの類を全部曝け出していて、ハッとして口を閉じた。
時すでに遅し……だったけど。
「ごめんなさい……こんな、私情をべらべらと……」
これでは、病院の診察というより、人生相談のようになってしまっている。
三角先生だって、ここまで詳しく聞くつもりで話してみてと言ったわけではないと思う。
「あのっ、さっき仰っていた薬を飲んだら、この状態は治るということですよね?」
ハンカチをバッグに押し込み、椅子を立ち上がる。
突然席を立った私を、三角先生は驚いたように顔を上げて見上げた。
「あの、ありがとうございました! お話させていただいて、ちょっとスッキリしました。では、失礼します」
「ちょっと待って」
一方的に話を終わらせて立ち去ろうとした私の手首を、三角先生が引き留めるように掴んだ。